ローマ旧市街の中心にある遺跡が野良猫・捨て猫の保護センターになっているトッレ・アルジェンティーナ広場では、ボランティアの人たちに助けられ遺跡の中で多くの野良猫たちが暮らしていることで有名です。が、そんな有名どころでなくてもローマでは野良犬、野良猫にかかわらず動物が大事にされているなと感じたので、ローマの人々と動物の関係をレポートします。
動物にやさしいローマの人々
根拠その1
夫の実家で犬を飼っていて、時々私が散歩に連れていきます。一人で歩いていて声をかけられることはほとんどないんですが、犬と一緒だと「かわいい犬だね、何歳?」、「触っていい?」、犬の気を引こうと「チュチュチュッ」と音を立てる等々、老若男女問わず声をかけられます。自分の自己紹介以上に犬の紹介をすることがうまくできるようになりました。
根拠その2
野良犬や野良猫に餌をやるのはいいことと考えられています。もちろん餌をあげてその片付けもきちんとしなければいけませんが、住み着くのを恐れる住民は私の周りにはいません。私の住んでいるマンションの敷地には野良猫が数匹住み着いています。朝晩、毎日餌をやっているおばさんがいて、食費がかさむだろうから私も時々キャットフードを差し入れしています。マンションの入り口で餌をやっているのでみんな彼女に挨拶して家に入っていきます。
野良犬や野良猫といいましたが、かもめにも餌をやる人が必要です。なぜだかローマにはカモメがたくさん。かもめに餌をあげ続けているおじいさんがその人です。小柄でクラシックなスーツ姿、メリーポピンズに出てきそうな雰囲気の持ち主。路地裏の人気の少ないところで餌をやっています。
根拠その3
もともと土足で家に入るので、動物を家の中で飼うことに抵抗がある人が少ないことが考えられます。多くの家では犬の場合ですが、散歩から帰ると玄関にウェットティッシュを置いていて口元、足元を拭いてから家に入っていきます。慣れた足つきで拭かれるのを待っている犬は家族以外の何者でもありません。
地下鉄やバスはもちろん、犬立ち入り禁止の張り紙が貼っているところ以外はどこでも犬を連れて入れます。
行政ぐるみで動物と真摯に向き合っている(...ように見える)
ローマのある保護施設から犬を引き取ろうとしたときのこと、まず8ページにわたる長ーい調査票が送られてきました。名前、住所、動物を飼ったことがあるかなどの質問が続きます。家にバルコニーはあるか、何回散歩に連れていけるか、犬が想定外に大きく育った場合どうするか等々続きます。そして義理母と笑ったのが、もし離婚した場合どちらが引き取るのかという質問。人間の子供が生まれる時でもそこまで決めてませんよね...。とにかく軽い気持ちで引き取ってくれるなという強い気持ちは感じ取れました。
で、無事引き取ることを許されたら、かかりつけ獣医を決めて、必要な予防接種、迷子になっても戻って来れるように首にICチップを埋め込み、ペット戸籍課で登録をしなければいけません。(全員がしているかどうかは定かではありませんが、これが正式なペットを飼うときに必要な手続きです。) するとペット戸籍課から正式に登録完了の書類を受け取れ、公式に家族の一員になります。
日本でもこのような手続きが必要なのかな?少なくとも私たちが飼っていた犬を拾ってきたときはそんなことはしていないので、ここまでするんだと驚きました。
最後に...
もちろんイタリアでも他の国同様、飼えなくなったのか捨てたり、ストレス発散か虐待する心無い人たちがいます。とても腹立たしいことだけど、事実です。しかし、一般的に動物に対して優しい人が多いというのが、ここローマに住んでの印象。こんないいところはいつまでも続いてほしいなと思います。